1990年後半頃から2000年前期頃迄の古いリモワで横引きタイプのトパーズやOPAL等には、テレスコープハンドルでは無く、プルタブハンドルと呼ばれている、指先で軽く持ち上げられるリターンスプリングの入ったハンドルが使われています。
シルバーの塗装をしたものやメッキをかけたもの、樹脂素材そのままの色をしたもの等があります。

使い慣れるとテレスコープハンドルよりも使い易いという方も多く、根強いファンの多い OLD RIMOWA ですが、さすがに20年以上も経過すると、ハンドルに内蔵されているリターンスプリングが折れる、ハンドル保持部分が割れる、表面はなんともなくても、裏側のかぎ状になった部分が割れている等の状態になった等、酷使されるキャスターと同じくらい、プルタブハンドルの破損・故障は多く見られます。
古くなった部品はいつ壊れてもおかしくないですが、当店でもお預かりしたリモワを移動しようと、プルタブハンドルを少し持ち上げたところ、その瞬間にハンドルのスプリングが折れたことがありました。
何とか新品を入手できないか、新品とは言わなくとも状態の良い中古品は入手できないかといろいろ動いてみましたが、既に入手の難しい部品になっていました。
それ以後は、お預かりしたリモワの入手できない古い部品にはできるだけ触らない、動作させないようにしていますが、ご自身のリモワに愛着を持っており、できれば一生使い続けたいと考えている方も多くいらっしゃる古いリモワに使えるプルタブハンドルの代用品開発もこのことをきっかけにスタートしました。
プルタブハンドルリモワの修理で代用品ハンドルを取付
プルタブハンドルの代用品となりそうな市販のハンドルを十数種類取り寄せ、当初は鉄製の台座を作成し、強度は十分ありますが、結構な重さとなる為、アルミ製の台座を厚みを変えて何種類も試作した結果、最終的には厚さ5mmのアルミ板で製作することにしました。
プルタブハンドルの破損により代用品ハンドルを取り付ける修理の場合、お預かりしたリモワのプルタブハンドルを外して、取付位置などを合わせて、代用品ハンドルを取り付ける為の台座用のアルミプレートを切断・切削・穴あけ・ネジ切り・研磨等をして1個、1個手作りしていきます。
取付は最終的な微調整だけなので1週間程度で済みますが、台座の穴開け位置がゼロコンマ数ミリずれるとリモワの本体側を削らないと取り付けできなかったり、ハンドルが斜めになってしまったりしますので、台座1個を作るのに、全て順調に作業が進んだ場合で最短でも2~3週間程度を要する作業となっていました。
※2021年7月現在でもお預かりの場合は、原則としてこのアルミ製台座版ハンドルを取り付けますが、様子を見ながらABS樹脂製台座版ハンドルへ切替予定です。
プルタブハンドル代用品部品セットの販売
アルミ製台座の製作にはかなりの工数があることから日数も費用もかかりますので、ハンドル台座をもう少し簡単に製作できないかと試行錯誤していましたが、3Dプリンターを導入し、ABS樹脂フィラメントを使って厚みや形状を変更しながら数十個の試作品を製作しました。
台座の素材を金属から樹脂に変更した分、かなり厚みを増やしましたが、アルミプレートから製造したものよりも強度は落ちるはずですが、取り付け自体は大分簡単にできるようになりました。
3Dプリンターで製造したプルタブハンドル代用品の強度は、25kg以上の重さにしたプルタブハンドルリモワのABS樹脂製台座版ハンドルグリップを持って、前に押し出してから急に手前に引き戻す動作を1000回繰り返したり、25kg以上の重さにしたリモワTOPASのプルタブハンドル代用品のグリップ部分にフックをかけ、数日間吊り下げたりといったテストをした結果、ハンドル部品に特に問題となる個所が無かった為、よほど強い力や衝撃が加わらない限り通常使用の範囲内で簡単に破損することはないと判断しています。
このABS樹脂製ハンドル台座により、今までお断りしていた、ご自身でプルタブハンドル代用品を取り付けたいので部品だけ欲しいと言う方にも対応可能になったのではないかと思っています。(ご自身でリモワのリベット等を外して、壊れたプルタブハンドルを取り外しできることが前提です)
アルミ製のハウジングに取り付けられたプルタブハンドル代用品部品セットの試験販売を近々に始めますので、ご興味のある方は、リンク先のジョイトレードオンラインでお求めください。

古いリモワのプルタブハンドルは、ハンドルを取り付けているハウジングが2種類ほどあります。
下の画像は樹脂製ハンドルハウジングですが、2021年7月現在では、プルタブハンドル代用品部品セットは、樹脂製ハンドルハウジングのリモワには対応しておりません。
